自然の鮎を見ていると数メ-トル向こうからでも飛びかかって来ているのに、囮鮎には見向きもしないどころか、囮鮎が寄って行けば逃げている野鮎もいるのを目にしたことがある人は多いと思います。また、元気な囮鮎にはすぐに掛かるのだが、ちょっと弱れば全く掛からない友釣りの非情な世界を体験した人も多いことでしょう.。 その結果、囮鮎の動きが自然なほど鮎は掛かると結論づけた人は私だけでないと思います。いかに自然な泳ぎを囮鮎にさせるかが数年間にわたる私の課題でした。グレ釣りと同様に、竿さばきには天性のものが必要であり、技術で叶わぬなら仕掛けでと、柳、柳の吹流し、1本針、2本蝶々、2本蝶々+1本と出来るだけ身軽にしようといろいろ試しましたがどれも似たような結果でした。 囮鮎が不自然な泳ぎになる最たる原因は鼻環だと結論づけるのに勇気がいりました。鼻環こそ友釣りの基本であり、名人と言われる人は躊躇せずに使っているのだから。それを諸悪の根源だとは、当時、人並みに網の外で数秒で鼻環を取り付けられるようになっていただけに迷いました。
鮎はヒレだけで泳ぐのではない。蛇のように身体を蛇行させているはずだ。そのとき頭が鼻環で固定されていたら泳ぎに不便で、不自然になり、弱るのも早いだろうなって勝手に結論づけ、鼻環を取り去りました。背環による釣りも試みましたが、横に流れすぎて囮鮎を自由に操れない欠点があり、背と鼻の間、肩と呼びましょうか、この肩に細く鋭い返しのある渓流針を刺して泳がすことを試みました. この仕掛けを平成9年にインタ-ネットで紹介するにあたり,「稲妻」と命名しました。以後、類似品が商品化されているとの情報を多くの方からいただきましたが、「稲妻」の威力を認めていただいたのかなとも思っています。商品化する前に一言くらい挨拶があっても良いのではないかと私は思うのですが、それはそれとして、鮎が釣れる仕掛けであることは実釣していただいたらお解りいただけるかと存じます。 簡単に自作できますので皆さんの川で試してみて下さい 「稲妻」での釣果平成5年まで模索の時でしたが、大丈夫との確信のもと、平成6年からすべてこの仕掛けを使用しています.
平成7年には某釣具メ-カ主催の大会に予選を通過すことが出来、全国大会にまで出場させてもらいました.(全国大会では1回戦で完敗)今までの最高は1日98匹で3桁釣りはまだありません.最大は27cmです。平成9年は全くダメでした。各河川とも稚魚の放流数を減らしているのが原因のようです。天然遡上が期待できない河川環境となっている現在では、稚魚放流を減らせば釣れなくなるのは当然です。高い遊魚券を払ってるのだからどんどん放流して欲しいものです。 釣り方
誘い
また、元気に上流に登っている場合でも、そのまま泳がせて釣れますが、敢えてオトリを10cmくらい、やや持ち上げ気味に下流に引き戻します。そうすると、元気なオトリはくるっと一回転します。これがスパイラル。ただ泳がせるよりも遙かに掛かる確率は増えます。 鼻環と違って、鼻先がフリ−ですので回転しやすいのです。この操作を10〜20秒間隔くらいで行います。何気なしに竿先が振れているように見えますが、結構これで微妙な動きを与えています。「竿先でオトリ操作はしてはダメ」と聞きますが、それは理論上のこと。スレた鮎を大勢の釣り人が居並ぶ場所で釣るには教科書通りでは釣れない。いかに他と違った動きをオトリに与えるか、これが私の釣りであり、稲妻の極意です。 オトリが水平に泳いでいる時は野鮎は掛かりが悪い。鮎が頭を下に、尾を持ち上げた状態の時、そこに出来る三角形の空間に後方から野鮎が飛び込んで来るように思います。その状況を誘いで作ります。今の鮎はそうしないと釣れない これは良く経験することですが、あまりにも掛からないのでポイントを移動しようと、オトリを下流に引いたときとか、水面に浮かせようと持ち上げた時に掛かることがあります。私のオトリ操作はこれを小刻みに絶えずしています。それらの操作には稲妻仕掛けが最適だと結論付けた次第です。
長所
短所
応用編背バリ最近の私が使っているのは「がまかつ渓流9号」です。市販のままでは針先が開きすぎて外れる場合があります。「身切れ」といいますが鮎の皮は硬いのでほとんど切れることは無いと思っています。オトリが飛ばされるのは、長時間オトリを使用していると針穴が広がり抜ける場合や、掛かった瞬間の鮎が回転する場合があるのでその時に外れる。小さなオトリに23cmを超える野鮎が掛かった場合に引きちぎられるのは止むを得ないでしょう。 1・・・市販のままの渓流バリです。これを、 2・・・先の細いペンチで内側に曲げます。ちょうど写真の曲がりくらい。これでまず抜けません。曲げ過ぎるとオトリに刺しにくいです。私は年間1000匹くらい釣りますが、オトリを飛ばされるのは4〜5回くらいです。これで大丈夫でしょう。 3・・・カツイチから市販されている背バリ。曲は良いが返しが小さいので抜けやすいのが欠点。 4・・・抜けないようにする気持ちは分りますが軸が太すぎて使いにくい。しかしこれを使っている人もいるようです。 5・・・イカ釣り用の仕掛けです。アジの背に掛かるのですが複雑すぎる。「simple is the best」です。 5ミリの遊び背バリの部分を編み込み仕掛けで5ミリの遊びを作り移動式にしている人も多いようです。私が直結にしている理由は2つあります。1つは仕掛けつくりが簡単なこと。あと1つはオトリの大きさに応じて移動させるのが面倒なこと。実際、掛かっているときはオトリ交換の手返しを早くすることが大切、そのままスッと送り出すほうが速いです。小さいオトリではタルミが出来ますが関係ないようです。ただオトリ操作は直結の法が簡単です。5ミリの遊びがあると思ったように操作できないように思います。「慣れれば大丈夫です」と言っておられる方もいますのでそれはそれで良いのでしょう。 ついでですが、針のハリスを逆バリにセットしたとき、余ったハリスをハサミで切るかどうかですが、私の体験では関係ないようです。切ったほうがすっきりして感じはいいですが、そのままでも結構掛かってきます。 オトリが登らず下流に流される釣ったすぐの元気オトリは放っておいてもぐんぐん上流に登ります。こんな場合は途中で何回も浮かせて引き戻す、いわゆるスパイラルを繰り返して泳がせます。これを群れ鮎の中で行うのが秘技「群れ鮎崩し」。問題は弱ったオトリの場合です。白い腹を返し寝てしまったり浮いて流れるオトリは無理です。交換するか無ければ購入しに行くかです。しかし、色が変わっていてもなんとか泳ぐようなら必ず上流に登ります。コツさえ掴めば可能です。 まず、背針を背ヒレに近い位置に打ち変えます。その理由は後述します。次にオバセです。これで可能です。水中糸は長い目に、目印は何個を沈ませるか、水中糸と水面の角度は重要、などなど。これらは体験するしかないです。メタルでは無理、0.3号フロロと目印で必ず登らすことが出来ます。ついつい引き釣りをしてしまいがちですがまず釣れません。 稲妻仕掛けでは必ず目印の上流にオトリがいるように、オトリは自分の立つ位置より上流にいること。言い換えれば上流に向かって釣るスタイルです。ここが鼻環仕掛けと違う点です。鼻環仕掛けでは引き釣り、泳がせ、どちらでも可能ですが、稲妻仕掛けでは引き釣りは無理と思ったほうが良いでしょう。ほとんどの場合は中間に浮いているか、流れのある瀬なんかではオトリが頭を下に尾を上にして斜めになって流れに逆らっているだけになります。 オトリが上流に登らない場合は自分が下がります。こうすればポジション的にはOKです。それでも登らない場合はオトリを交換するか、場所を変えるかです。ヨタヨタとでも泳げば緩いポイントで登らせ辛抱していれば掛かってきます。そのときの感激は絶大、「楽しい」というより「嬉しい」です。 元気オトリなのに下流にばかり泳ぐこれは背針を打つ位置で修正可能です。頭に近いほうに打てばこうした事態が起こりやすいです。後方すなわち背ヒレに近いほうに打つと上流に泳いでくれます。弱ったオトリもこうすれば泳ぎます。一度試されたら良いと思うのですが、背針をアブラヒレに打って泳がしてみて下さい。鮎は必ず上流に泳ぎます。頭近くに打てばオトリの自由度が奪われるからからかもしれません。それでも駄目なら背針の打ち方を変えます。身体に平行に打ったり左右を変えたり。そのうち弱ってきますので上流に登るようになります。まあこれが結論です。単純ですみません。 引き戻せば手前ばかりに戻ってくるこれは頭が手前に向いているからです。そのままでははるか沖から足元まで戻ってしまう場合があります。途中で頭の向きを変えます。一度緩めて下流に引く。数回繰り返せばそのうち向きが変わります。実は変わってからが難しいのです。オトリは自分の立つ位置より上流にいますので、竿を下流に引けばオトリは沖に出ます。しかし引きが強すぎたり弱すぎたりすると反転して元に戻ります。水の流れの強さ、鮎の元気さ、竿を下流に引く強さ、オトリとの角度、それらをピッタリ合わすとオトリはスーッと抵抗無く沖に出ます。引いている途中で緩めたりすると潜ってしまいますので一定の速さで引き、ここでOKと思うところで緩めてください。これはその場その場ですべて違ってきますので経験を積むしかないようです。 オトリが沖に出ない稲妻仕掛けの場合は沖に出しやすいです。オトリを自分の足元から少し下流に置き、頭を沖に向けて水面にまで持ち上げて流れを横切らせます。竿を立て、必ずオトリは一定の速さで水面を泳がすこと。緩めれば水中に入りその場で潜ってしまいます。これも流れの速さ、オトリの元気さ、流れとの角度など、特に流れとの角度は大切です。流れに対しての抵抗をオトリの角度で調整し沖に向かわせるのです。慣れれば簡単です。空中輸送も一策ですがイカリが絡んだり竿が折れたりとトラブルも多いので出来るだけ避けます。 |