平成14年5月27日 牟岐津島   今日は午後から職場の釣り大会、総勢8名だが県チヌ釣りチャンピオンO氏もいるし、ヤカタでグレ40匹記録のT氏、職場でのグレ県内礒記録保持者TA氏、さらには1m20cmのカッポレを釣った猛者もいる。レベルは低くない。
 出船は午後の3時、いわゆる「夕釣り」。船内客は14名、クジを引くが私は7番、しかし礒はがら空き。今好調の1番2番廻りへ皆さんが登礁、なんと佐尾山が空いている。まさか、でも本当。で、私は佐尾山へ一人で上がる。釣り歴40年で佐尾山は3回目くらいかな? それだけ難しい佐尾山、ここで釣らなきゃあ阿波の釣り師でない。
 仕掛けはハリス1.2号、竿はメガドライ1号、Bのウキでウキ下1ヒロのフカセ釣り。これで喰わなければグレはいない。しかしグレはいた。やっぱり佐尾山、すごい。登礁の3時は下り潮、4時を過ぎたとき突然登り潮に変わる。ウキが消し込みメガドライが満月、ハリス1.2号では無理は出来ない。慎重に取り込んだのは38cmの口太グレ。番外編のオマケだ。
 しかしこのグレは「釣れた」のではなく「釣った」と言う自慢。手前にエサトリを引きつけておき、刺し餌を沖に打つ、エサトリの少ない沖で刺し餌が馴染んだときウキの頭にコマセを打つ。最初エサトリが水面に集中、同時に下でグレも集まる。その時刺し餌は沈んでいるのでエサトリの攻撃からは免れる。そしてグレが、ギュ−ンとウキを消し込む。絵に描いたような釣り。これが夏のグレ釣り、満足、満足。
 このグレで優勝、ばんざいでした。今日は3時から6時過ぎまでの「夕釣り」で25cm〜38cmグレを10匹余り。佐尾山だから釣れたと思うし、優勝出来た嬉しさもあるが、津島40年釣行している者にとって、10名前後の釣り客で津島の何処でもどうぞなんて言う釣りは好まない。贅沢かもしれないが、やはり朝一に抽選をして礒を決めるほうが釣ったグレも価値があるように思う。今日、佐尾山に上がれた嬉しさは、10年以上も前に激戦の中で上がった喜びには遠く及ばない。
 大好きな津島が俗っぽく荒れていきそうな気がするのは私だけでしょうか。「夕釣り」・・・私は二度と行かないし、行きたくもない。朝一、みんなで抽選、みんなが6番佐尾山を目指して。私はそんな釣りを好む。

平成14年5月12日 牟岐津島   GWの牟岐津島は二日とも大荒れだったので悔いが残り、鮎釣りまでのラストチャンスにと釣行する。今日の津島は東の風で比較的穏やか、条件としては良い。いつもの吉野丸は釣り客12名、恒例の船内クジは3番、まあ悪くはないか。ところが同行のT氏がなんと1番クジ、やった今日はク−ラ−満タンだ。渡船は7隻、磯クジは7番以外ならどこでも良い、・・・が、これがなんと7番クジ、あ-あ、終わった。
 しかし運はあった。5番の船の釣り客は2名、スベリと三角に上がった。ワレオチが空いているじゃない、それならと5番へ割り込ませてもらい、ワレオチに上がる。大潮の満潮はワレオチは足元を波が洗う。グレが釣れれば気にしない、コマセをまけばグレ子チャンがエサトリの下にわんさか、そしたらT氏がいきなり30cm尾長をゲット、いいよ今日は。
 しかし釣れるのはT氏ばかり、ポイントが少しずれている私にはアタリなし。T氏が6匹釣ったとき我慢できずにハリスを1.7号から1.5号に落とす、そしたらすぐに来た35cm口太。それからポツリポツリと釣れ、やっと笑みがもれる。アタリが遠いたので、さらに1.2号に落とすとすぐに来た30cm尾長、37cmアイゴ、放流サイズグレ多数、などなど。
 グレボ−ズ街道脱出でした。同行のT氏は28〜33cmグレを15匹くらい、O氏は50cmチヌ2匹(写真の1匹頂いた)33cmグレ3匹で彼もグレボ−ズ脱出、めでたしめでたし。これで皆さん心おきなく鮎釣りへ転身出来ます。14年度番外編前半終了、来週からは鮎釣り情報です。

平成14年5月3日 牟岐津島   GWは牟岐の津島へ、昨日は津島でグレが良く釣れたとのことで期待を込めての釣行となる。南風が強いとの予報通り、沖に出ると海は大荒れ。ワレ船着きを波が乗り越え、サンゴ頂上まで波シブキ、オオバエはとても船を着けられそうもない。
 「クレ石船着きしかやれん、どないする、大島へ行くか」と船長さん。大島も荒れていて4番タワラまでしか使えない、大島の渡船は13隻、白クジ2つとの情報が入る。「大島へ行ってクジが悪ければ津島へ戻るか」などと言っていると、なんと津島の渡船は我々が乗っている船だけ。他はみんな大島へ行った模様、「それなら津島に残ろう」と言うことになる。
 釣り場はクレ石船着きだけしか期待できない、釣り客は3名ずつの2グル−プ計6名。1番クジを引いた人のグル−プがクレ石へと決め、抽選、そして私が1番クジを引く、すみません他のグル−プの皆さん。で、クレ石船着きへ。
 海が荒れるとここは超一級磯となる。第一投目にウキが消し込む、18cmグレ、二投目も同じ、「小グレしかおらん」と言うと三投目は強烈なアタリ、久しぶりのグレか、ウキが見え、魚体が見えると少し色が違う、尾長か、と思うが残念、38cmキツだった。魚の活性は高い、今日はグレでク−ラ−満タンだと思ったのが運の尽き、その後ピタッとアタリが遠のき、エサトリの猛攻に合う。
 結局釣ったグレの大物賞は同行のT氏、O氏、私と三名とも26cmグレの同型。「グレとは言えんなあ、やっぱりグレボ−ズ街道続くじゃなあ」との結論。T氏はアイゴ1匹、ボラ1匹、針ハズレ1回。O氏はゴンタ1匹、ハリス切れ1回。私はアイゴ2匹、キツ1匹、針ハズレ1回。皆さん放流木っ端グレは多数に終わる。荒れた時のクレ石船着き、条件は最高に良かったのだが魚に見放されているようだ。
 次回は6日、津島へ再チャレンジの予定、その後は鮎が始まるので14年前半の磯釣り最終日となりそう、グレボ−ズ街道、脱出できるかな。

平成14年4月4日 沖の島   夜中に眼が醒めると、この前のようにものすごい北西の風が吹いている。この前は南東の風から北西に変わり波が残っていたが、今日は昨日の北西の風が強くなっているだけ。沖の島の風裏「ノコバエ」には波はないはず、その通り、渡船が沖の島の南側に回ると無風、べたなぎ状態。予定通り我々三人は「ノコバエ」へ上がる。
 私は東端の底物場で釣ることにする。三十数年前、ここで全く釣れないイシダイを狙った思い出が蘇ってくる。この思い出に浸りたいがために「ノコバエ」に来た。同行の二人は上物場の西端、あのときこのポイントで60cmグレを入れ喰いさせていた釣り師達の光景も浮かんでくる。平らな岩の窪みに、次々と釣れる巨大グレを無造作に積み重ねてあったのを思い出す。
 しかし、そんな感慨に浸れたのは最初だけ。エサトリも全くいない、何時上げてもエサが残っている。そのうち風が西寄りに変わったのか、波は無いが風が舞い込み次第に強くなってくる。竿を持っていられないどころか、礒に立っていれば吹き飛ばされそうになってくる。「これでは釣りにならんわ」「弁当船で変わろうか」「ノコバエから変われんわなあ」などと言い合い、T氏は風に向かって釣りを続ける。O氏は昼寝。私は岩陰に身を潜めて続行する。
 しかし何も来ない、何時上げてもエサが残っている。結局、納竿までこの状態が続き終日アタリなし、昼寝のO氏は睡眠たっぷり。風さえ無ければポイントを作れるのだがと思っても、天候だけは仕方ない。「ノコバエ」に上がれただけで良しとするしかなかった。
 「沖の島」シリ−ズは「ムロバエ」「オオバエ」「ノコバエ」どれも超のつく一級磯ばかり、そこでグレが釣れなかった。グレボ−ズ街道にどっぷりと浸かった感じ、しばらく抜け出せそうもないなあ。

平成14年4月3日 沖の島   沖の島はムロバエ、ノコバエ廻りの再挑戦。「沖の島渡船」がドック入りのため「三浦渡船」に便乗となる。今日の「三浦渡船」は「二並島」の廻り、東のハナ、スクモバエなど一級磯に「三浦渡船」のお客さんが上がっていく。どれもいい礒ばかり、ほれぼれするのを見ながら皆さん上がり終え、「沖の島渡船」のお客さんの廻り、ムロバエは先日上がったので今日は「大バエ」への登礁と決める。
 沖の島灯台下、四国最南端のこの礒に一度は上がりたいと思っていた礒、感慨が深い。潮はゆっくりと登り潮、北風が強く白いサラシが払い出している。グレ釣りの最高の条件、「釣れるぞ今日は」仕掛けを作り第一投、同行のT氏、O氏の方を見ているとウキがない。慌てて竿をあおるが反応なし、何か来ていた。そして第2投目、いきなりウキが消し込む。35cmイサギ、先日のムロバエのパタ−ンかと思うが後が続かない。
 しばらくして再びウキが消える、力強い締め込みだが今日の仕掛けは大仕掛け、程良い締め込みに魚信を楽しむと、なんと懐かしいイシガキダイの40cm、美味しい魚に笑みが漏れる。続いてすぐに35cmイシガキダイ。嬉しいな、グレよりいいかも、などど思っているとウキが消し込む。これはグレのアタリ、強烈な締め込みは50cm間違いなし、ところが上がってきたのは49cmサンタ、まあいいか。そのあとも強烈なアタリ、これはグレ間違いない、しかし46cmのキツ。
 そしてその後、来た、本命と思われる強烈なアタリが、一気に竿がのされ、反射的に糸を出し竿を立てる。この一瞬の反応が取り込めるか、切られるかの境目。今までの魚は前哨戦、今日はこれを獲るために来ている。ハリス4号、道糸はPEライン、飲み込まれ歯で切られなければ取り込む自信はある。最初の締め込みに耐えれたと言うことは飲み込まれていない。ある雑誌で掲載されていた「トレナイウオ」、これが来た。
 最初の締め込みを耐えるとPEラインは敵が反転するのが解る、リ−ルを巻くが再び強烈な締め込み、2.5号メガドライが根元から曲がってしまう。上物竿で闘う相手ではないのは体感で解る。この重量感とスピ−ドは今までに体験したことのないパワ−、グレなら60cmどころか70cmはある、イシダイの70cmクラスか、なにしろこんな重量感、磯釣り40年で初体験、糸に伸びのないPEラインにそのパワ−がもろに伝わってくる。
 沖で掛けた敵が次第に近寄り、足元に潜り込もうとするのを礒の先端に出て、足元を波に洗われるながら必死で耐える。ウキが見え始めるが姿は見えない。ラインが短くなると益々敵の重量感が手元に伝わってくる。腰を落とし全身の力で竿を立てようとするが立たない。竿が曲がるだけ、2.5号竿がこんなに柔いとは、竿尻を腹に宛っていなければ一気にのされてしまう。名人M氏のビデオどころでない。何だこの魚は、取り込める相手ではない、せめて姿だけでも見たい。
 しかし敵は姿を見せた、メガドライ2.5号、PEの道糸と4号ハリスに勝てなかったようだ。どばっと浮いたのは巨大な青ブダイだった、昔「青バンドウ」とも呼んでいた。70cm、重さは計量していないので解らないが、タモですくってくれたO氏が一人で持ち上げられなかった。写真を撮ったときも「重い、早く撮ってくれ」だった。腹パンパンの胴回りは私の腹と同じくらいの太さ、「これは魚類ではない、ほ乳類だ」と誰かが言った。私の感想「まるで映画のエイリアンそのもの」。
 タモの中で針が外れていた、だから獲れたのだろう。これが飲み込まれていたなら、あの珊瑚礁をも噛み砕く鋭い歯では4号ハリスなど一瞬に切られていただろうと思われる。私の磯釣りでの最大魚となったが、こんな魚を取り込む体験が60cm70cmのグレを取り込む布石となるのだろうと思った。・・・・グレは釣れなかったが、ものすごっく楽しかった。
 明日は30年来の念願「ノコバエ」へ、釣行記は明日に。

平成14年3月27日 沖の島   昨夜、夜中に眼が醒めると激しい雨と風の音がする。雨さえ止めば北西の風に変わる、ノコバエは沖の島の風裏になり、無風状態となるはずだ。そして朝、雨は止み、予定通り風は北西に変わっていた。昨日は南東の風でムロバエへ、今日は北西でノコバエへ。天は我に味方せりと申し分のない選択のはずであった。
 ところが港に出てみると風は北西だが、立っていられない程のものすごい風、当然、北向きの礒は壊滅状態。だが今日は風裏のノコバエ、大丈夫。そう、大丈夫と思ったが・・・昨日の南東の強風のウネリを忘れていた。風は北西に変わったばかり、沖の島の風裏は無風状態だが、昨日のウネリが残っていた。チョボは水の底、カガリバなど恐くて船なんかとても付けられない。大きなウネリはノコバエの頂上のはるか上までシブキを上げていた。北も南もやれない最悪の状態、船長、他のお客さんも交え相談するも、どうにもしようがない。
 二並島でなんとか船を付けられポイントがありそうだが13名の釣り人をさばけそうもない。で、港に帰ることに決定。私たちは昨日釣りが出来たが、今朝来たお客さん達、残念でしたが天候だけは仕方ない。大きな波の中、船酔い者多数出るなか、片島港へ。沖の島遊覧の日でした。ノコバエ・・・また次の機会があるさ。   

平成14年3月26日 沖の島   二日釣りの予定で沖の島へ釣行。礒割りはムロバエ、ノコバエ廻りで最高、特に最近の沖の島ではムロバエしか釣れていないとの情報もある。そのムロバエへ同行の六名で上がる。今日は南東の風が強いが、沖の島の陰になり釣りは出来る。
 潮は下り潮、水温18度、小荒れ気味で白いサラシが潮目に沿って綺麗に払い出している。ムロバエの上物釣りとしては最高の条件、「さあ釣るぞ」気持ちは高ぶる。数投目にウキが消し込む、メガドライ1.7号が綺麗に曲がり、久しぶりの魚信に興奮する。上がってきたのは35cmのイサギ、だがこの美味しい魚に顔がほころぶ。それからはイサギばかり、グレは?グレ子チャンどこ?おいで早くと言ってもまたイサギ。
 皆さんもそれぞれにイサギを釣っている、北の船着きに陣取っている息子は?なんとグレを釣った。30cmだが美しい尾長、ハリスを1.5号に落として釣れたと言う。イサギ釣りに飽きた私は息子の横へ割り込むことに、コマセを撒けばグレが見える。中には50cmを超すのも見えるが、全く喰わない、ハリスを1号にまで落としても喰わない。大島以上にスレてるのか、釣り方が下手なのか、お手上げ状態。そんなとき息子のウキが消し込み瞬間に切れる。このとき息子は2.5号ハリスにしていたが獲れる魚ではなかったようだ。
 納竿間際にも大物のアタリが息子にあり、これは道糸から切られる。沖の島のグレは2.5号では通用しないことが解った。やはり4号以上かなと思うが、そんな太いハリス、使う気になれない。釣りの考えを根本的に変えないと駄目かなと思ったりもする。なんやかんやで私は35cmイサギ10匹、息子は同型のイサギ4匹、30cmグレ1匹、38cmアイゴ1匹で終了する。同行のT氏は珍しいギンガメアジ43cmを筆頭にグレ35cm1匹、イサギ9匹で竿頭、さすがです。
 今日は沖の島で1.2を争う名礒ムロバエへ上がれただけでも良しとし、明日はノコバエの予定。ノコバエは30年以上も昔、私が全く釣れない底物を狙っている後ろで、徳島の釣り人が60cmグレを入れ食いさせていた光景が蘇ってくる。あのとき上物をしていればと悔やんでももう遅い、だが、思い出のあるノコバエへ明日上がれると思うと懐かしさがこみ上げてくる。そんなノコバエは明日、明日だったのだが?・・・・あ-あ。   

平成14年1月7日 御五神   4日の初釣りは津島で見事にボ−ズ、そして今年2回目の釣りはかねてより計画していた御五神へ。年末まずまずの釣果があったので、TA氏、O氏、私の息子と4名、期待を込めての釣行となる。まずTA氏とO氏が「ヒクゲタ」に上がる。ここは昔登礁したことがあり、なかなかの好釣り場。今日の潮は満潮が1時、上り潮で釣る最高の条件に恵まれた。私と息子は「菊地バエ」近くの低い礒へ。
 上がったすぐの二人の会話「ここ何と言う礒?」「知らん お父さんは寝床周辺しか上がったことがない」「僕は西の方しか知らん」「しかし この礒の感じ いいぞ」「うん 釣れそう」「多分、有名な礒だぞ ここは」「僕もそう思う」。そこが名礁「グレバエ」とは知らずに釣り始めた呑気な二人でありました。
 正面の潮はゆっくりと上り潮、間もなく満ち込んでくると速い潮に変わりそう、左はその引かれ潮がゆっくり。息子はその引かれ潮を、私は本流と引かれ潮の境目を流すことに。第一投目に息子のウキが消える。竿は程良く曲がっているがグレではなさそう。ゴンタでした。続いて2投目にも同じサイズのゴンタ。「ここゴンタバエと言うんじゃないか」「ゴンタバエは津島だな」。
 その後、ゴンタは来なくなり、ウキ下5ヒロでエサが無くなり始める。「そろそろ来るぞ」と言っていたら、来たっ。息子のインテッサ1.75号が満月、これは大きい、息子は糸を出さない主義。出船前、船長のお母さんに「徳島の人はハリス1.7号でブスブス切られている、もっと太いハリスを」と注意されていたが、息子も徳島の釣り師、ハリスは1.7号。竿先が水中に絞り込まれるが、腰を落とし竿尻を押さえてじっと耐えている息子の姿と名人M氏のビデオの映像とが重なる。「息子もやるな」と感心しながらタモを用意、長いやりとりの末、浮き上がった魚体は50cm近いグレ、グレボ−ズ街道真っ直中だった息子は満面の笑み。
 それから息子は38cmグレを2匹追加、そして9時前、強烈なアタリが来る。さきほどの48cmグレより遙かに強い締め込み、竿はのされる寸前、横走りはしない、グレだ、それも50cmオ−バ−間違いない。水際まで出て足元は波に洗われ、頭からシブキを被りながら、竿尻を柔らかい手つきでしっかりと押さえ、竿先が水中に絞り込まれそうになるのを必死で耐えてる。「写真 撮ってやろうか」「いらん、バラシてしまう」と息子、慎重なやりとりの末やっと竿が立つ。ウキが見え始めると、ンッ 白い、何だこれは。シマアジか、時期ではない、何だろうと思っていると54cmのヒラマサでした。どうりで引きが強いはずだった。
 息子の釣りばかりで、私は?・・・そう、コマセを撒き、エサを付けて流しているの繰り返しだけ。「場所ではないと思うけど、ここと代わってあげるわ」とは息子、余裕しゃくしゃくだ。「バカを言え、そんなこと出来るか」とは言わない私は「ほな代ってくれ」と単純。代わった間もなくウキが消し込む、瞬間、抵抗もなくハリス切れ、私はハリス2号、一瞬にして切られた。ハサミで切ったように綺麗に切れていた。「下手あ-」と息子、「今のは2号で獲れる魚と違うわ」とは私の負け惜しみ。
 コマセを撒くと底の方で大きなグレが見える。大島あたりのグレとは違う、桁ハズレに大きい。ウキ下を3ヒロにして爆釣と意気込んだとき、眼前に渡船が来る。「南風が強くなったので礒代わり」でした。そう言えば冬と言うのに今日は南風、足元にバシャバシャと波が打ち上げて来ていた。シブキで防寒服がびしょ濡れになっているのを初めて気付いた。後ろ髪を引かれる思いで裏礒へ転身する。時刻はまだ9時10分でした。
 このとき船長さんに「グレバエ」と初めて聞かされる。名前だけは聞いたことのある超一級礒、ここだったのか、息子と二人で思わず顔を見合わせて苦笑い。「サンタバエ」「ゴンタバエ」と言った名前でなく、名前がいい。いや名前だけでない、すごい礒だ、あの磯代わり直前に見たグレは軽く50cmをオ−バ−していた。「惜しい」「残念」、納竿時間まで釣れていたらと思うと、つい口に出てしまうが、これも釣り、天候にだけは勝てない。
 で、裏礒はいい潮取りをしているのだが二人ともアタリなし。南風が益々強くなり12時に納竿となる。TA氏とO氏も「ヒクゲタ」から裏の沖にある「ナカノハエ」へ代わっていたが、二人とも得体の知れない巨魚にハリス切れ1回ずつだけだったそうです。とくに、4日大島「ヤカタ」でグレを爆釣したTA氏は秘密兵器の胴付き仕掛けで巨魚一本に絞って来ていたが、見事に切られ悔しがっていた。
 今日笑ったのは息子だけ、まあいい、息子がボ−ズ街道を抜け出たし、自己最高の48cmを釣ったし、父親の役目は充分だなと自分で慰める私、帰ってワイワイ言いながら魚拓をとるのを手伝うのも楽しい、これもまた釣り。私は今年も「ボ−ズ街道」の気配、どうもこれは長引きそう。・・・ふう疲れた、しかし心地良い疲れ・・・長い釣行記になりました。